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ペルソナの悲劇が来る

こんにちは。

 

NHK「100分で名著」今月は河合隼雄スペシャルです。河合隼雄といえば日本に置けるユング心理学の第一人者です。

 

ユングといえば、心の最も深い層にあるとされる「普遍的無意識」に注目しました。それは人類に共通する基層ともいうべきもので、そこには「元型」と呼ばれる基本的な型のようなものがあるとしました。

 

元型で代表的なものとして「影」「アニマ」「アニムス」「ペルソナ」「太母」といったイメージが、今の自分の心の状態を映し出すように生まれてくるとしました。そこに表現された不均衡こそが「心の病」をもたらすとしました。そして主に夢の中に現れるこれらイメージをどのようにうまく統合し、自己を実現していくか?など研究してきました。

 

こうした元型同士の葛藤や、不活性な拮抗がブロックを作ったり、うつ状態が長期化すると病いと言えるでしょう。身体統合が進んでいくと、セッション中に、ブロックに気が付いたり、自己矛盾に気が付いたり、記憶と一緒に葛藤の原因があったり、トラウマが表出してきたり。なかなか自分だけでは気が付けないことも多いです。身体には、言語にならないイメージや印象、身体化した感情も表現されていることがあり、全体性の中で統合させていける可能性があります。欲張らず小出しに少しづつ進めていくのが治癒の最短距離だと思います。

 

 

河合隼雄も言ってますが、西洋で生まれたユング心理学では、日本人のメンタリティは全て扱えないと言います。彼は、「ユング心理学と仏教」の中で、日本における「私」のあり方。西欧とは異なり、日本での「私」は、自他が浸透し合った流動的な存在なのであると言います。「私とは何か?」という人間にとって最も根源的な問いに仏教と臨床心理学の双方から新たな光を当てるとともに、「人間は他者とどう関わっていけばよいのか」「苦しみや悩みを乗り越えて再生していく力とは何か」説いています。

 

 

近年、精神的な病は、増えていると思います。精神的な問題で、ロルフィングを受ける方もいらっしゃいます。やはり身体は心の入れものといえますので、体を統合していくとある程度心も統合されていくものです。葛藤が消え、考え方がまとまる、自分に気づくことは、かなり健康に近づいていくことでしょうね。

 

 

ロルフィングも西洋で生まれたものですので、コンテクストが多少とっつきにくいものもあり、僕もロルフィングの文脈にない日本的な身体文脈を少し取り入れている面もあります。特にセッションにメンタルテーマの時は、ボディワークと対話的手法、マインドフルネス瞑想や心理学的な手法など活用しながらセッションを進めています。 日本の場合はペルソナが人間関係と無意識で結びついていることが多く、ペルソナの危機から身体、精神バランスを病むことが多いかも知れません。