ピラティス・インストラクターとして、日々クライアントの身体と向き合い、解剖学的な正しさを追求してきました。しかし、私自身の身体の奥底には、どうしても意識が届かない「空白地帯」がありました。 長年、腰の奥深くに伸びない部分があり、それが側屈や股関節の動きを密かに妨げていました。整体や指圧を試しても、その場しのぎに過ぎない。身体を「意識的にコントロールすること」の限界を、プロとして活動しながらも、どこか静かに痛感していたのです。
【セッション中の微細な変容:感覚の目覚め】
ロルフィングは、私が今まで触れてきたどのボディワークとも違っていました。ピラティスが「意識して身体を変える」ものなら、これは「無意識に身体が変わっていく」体験でした。 第2、第3セッションで、私は生まれて初めて本当の「グラウンディング」を理解しました。今までどれほど足(foot)を使えていなかったのかを、理論ではなく衝撃的な体感として突きつけられたのです。 さらに、第8セッションで体験した「全身の繋がり」は、今までの癖をすべて洗い流すような自由さがありました。力づくで固めていた胸椎が、まるで呼吸をするように自然に伸び、動き出す。それは、意識的なトレーニングを何年も積み重ねるより、ずっと鮮やかに身体の可能性を広げてくれました。
【気づきの核心:身体知覚の変化と人生のリンク】
セッションを重ねるうちに、私はある壮大な事実に気づかされました。「私の身体には、こんなにも無意識の領域があったのか」という驚きです。 かつては身体を制御すべき「道具」のように扱っていましたが、ワークの最中、まどろみの中でこんな感覚が訪れました。私の内側には「もう一人の大きな自分」が住んでいて、この身体はその人のための「家」なのだ、と。 その大きな存在が、私に「大丈夫だよ」と静かに語りかけてくれた瞬間、絶対的な安心感が全身を包みました。身体という空間が、自分を縛る檻ではなく、360度の立体的な広がりを持った、安らげる居場所に変わったのです。
【日常に持ち帰ったもの:生活や関係性の変化】
10シリーズを終えた今、指導者としての視界は以前よりずっと澄んでいます。自分の「無意識の領域」を知ったことで、クライアントの身体にある微細なノイズや、動きの淀みが手に取るように見えるようになりました。 日常生活では、足を一歩踏み出すたびに、背中から踵までが一本のしなやかなラインとして伸びるのを感じます。長年悩まされていた足の冷えもいつの間にか消えていました。 「こうあらねばならない」という思い込みが解け、身体がニュートラルに戻るにつれ、迷った時にも自分の中にある「最適な在り方」へ自然に帰れるようになった。それが、人生をどれほど楽にしてくれたかわかりません。
【プラクティショナーへの信頼:場の安心感と吉田氏の在り方】
吉田さんは、ただ身体を整えるだけでなく、その人がその時に一番必要としているものを「引き出してくれる」人です。 セッション中に彼がふと漏らした「捉え方は表裏あるから、捉われる必要はない。流せばいいんだよ」という言葉は、私の心の強張りを優しくアンワインド(紐解き)してくれました。 男性の施術者に身体を預けることに不安を感じる方もいるかもしれませんが、彼の前ではそんな心配は無用でした。知識が豊富でありながら、常にクライアントの意思を尊重し、寄り添ってくれる。その静かな安心感があったからこそ、私は自分の無意識という深い海へ、迷わず潜っていくことができたのだと思います。
今、私は「整った身体」という原点に立ち、新しい私として生き直している実感を抱いています。
