ストリームライン

少し昔話を書いてみたいと思います。昔から運動は得意でしたが、走る系や球技とかいわゆる陸系ばかり。海系…は苦手でした。苦手というか、はっきり言うと、「泳げなかった」のです、笑。

 

 

 

ある日、近所のスイミングスクールのチラシが新聞に入っていました。「やり直しスイミングー3日間でスイマーに!」。35才を過ぎていたし、今更、という思いもありました。でもこの時にまだ小さかった娘がスイミングスクールに通い出し、飛び込む姿を見ていたら、泳げない自分に危機感を感じ、この機会に水泳を得意にしてやろうと思ったのです。

 

レッスンへ行くと、参加者は私一人でした。「こんにちは!」とやってきた美人インストラクターに、気負いしつつ、情けない気持ちを感じつつ、頭を切り返して準備運動に入りました。そしてプールサイドでのバタ足、水中ウォーキングののち、レッスンぱ始まりました。

 

「まず水の中で体をまっすぐにして下さい」いわゆる「けのび」です。バタ足もなしで、ただ体をまっすぐにして浮かぶやつです。あれ?このレッスンは泳ぎ方のレッスンではなかったのかな?そんな疑問も湧きましたが、言われた通りやってみると、これが難しいのです。けのびすら僕の体はうまくできません。

 

「体の力を抜いて」「自分の中心を感じて」彼女に言われるままやってみるのですが、全然出来ません。私の体は水の中でまっすぐもできないし、体の力を抜くこともうまくできなかったのです。私の体は自分の中心も感じられないことに愕然としつつ、でも今日できるようになってしまおう!と気持ちを奮いたたせたのです。

 

 

 「もっと体の力を抜いて」「水に自分を投げ出すように」なんどもなんども、けのびを繰り返しました。確かこの日は蹴伸びだけで終わった気がします。そしてようやく私の体は、ストリームラインらしきものを知覚し、水の中を送られるようにまっすぐに進んでいくようになったのです。 「プールで壁を蹴って体をまっすぐに伸ばす。そして体がまっすぐ進んでいく。」こんな単純なことに、私は深く感動を覚えたのでした。このセンセーショナルな体感は、私を次の意識へと向かわせる出発点になったと思います。

  

数ヶ月通ううちには、水泳は苦手から得意に変わり、そして自分のストリームライン感じて泳げるようになりました。この体がまっすぐの心地よさへの気づきは、体感として定着し、その後の私の体再発見の旅のベクトルの一つとなっていきました。体の体験というのは、その後の人生を大きく左右する出来事にもなりうるのですね。

その時感じたストリームラインを、僕は今もまだ泳いでいるようにも思えます。