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世界との距離感、そして自分自身の再発見

「世界の中にありながら 世界に属さない。」

 

この言葉に、かつての自分が抱えていた漠然とした不安や、社会との距離感を覚える人もいるのではないでしょうか。まるで、時代の波に乗り切れず、どこか取り残されたような感覚。就職氷河期を経験した私たち世代には、特に心に刺さるかもしれません。

 

ご紹介するこの本は、まさにそんな、人生に現実感が薄れてきたと感じる時に、そっと寄り添ってくれるような一冊です。読み進めるうちに、あの頃、社会や世界に対して、言葉にならない苛立ちや焦燥感を抱えていた若き日の自分を鮮明に思い出しました。

 

「自分は本当にこの世界に属しているのだろうか?」「社会の一員として、ちゃんと生きているのだろうか?」

 

サラリーマンというレールを降りて20年。私もまた、悩み、もがきながら、自分なりの居場所を探し続けてきたのかもしれません。今でこそ笑って話せますが、当時は必死でした。

 

さて、あなたは今、どんな世界を生きていますか?その世界は、本当にあなたの望むものですか?もし、息苦しさを感じているなら、覚えておいてください。世界は、いつでも変えられる。あなたの「実存」という、かけがえのない存在に比べたら、世界なんて、案外小さなものなのかもしれません。

 

最後に、本書から特に印象的だった一文をご紹介します。

 

「生理的には生きていても死んでいる人がたくさんいます。死んでいるのに生きているんですね。それはぼく自身の中でということです。ぼくは、生きていても死んでいる人はいるし、死んでいても生きている人が存在していると考えています。生と死は、人間の心と身体が分けられないのと同じように、ほとんど一緒のものだと思っています。」

 

この言葉は、私たち世代が抱える、社会との接続の希薄さや、将来への漠然とした不安といった感情に、深く共鳴するのではないでしょうか。「生きているのに死んでいる」と感じる瞬間はなかったでしょうか?

 

この本は、そんな私たちに、もう一度「自分」という存在を見つめ直し、世界との新たな関わり方を模索する勇気を与えてくれるかもしれません。ぜひ、手に取ってみてください。