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一番古い記憶

一番古い記憶は何ですか?

 

僕の場合、木製の古い橋の端っこを渡る記憶です。

 

2、3歳くらいでしょうか。風がビュービュー吹いていて、髪が乱れます。

目を細めながら橋に摑まりながら、一歩一歩進みます。

歩くのとは違った怖さを初めて感じていました。

それでも僕は風に逆らって進みます。一歩一歩。

僕の初めての記憶は、こんな冒険の記憶でした。

 

記憶はアングルから書かれてきます。

この橋は実は1メートルほどの橋で、連れて行ってくれたおじさんが足元を押さえてくれていたようです。

風が強かったのは確かです。でも恐怖を感じるような場面ではなかったようです。

 

この古い記憶は、その後、その時の写真が見つかり、

少し感慨深いものとなりました。

 

無意識に残る記憶はその時のアングルから見る記憶で、

時に俯瞰したアングルから再認識することにより、

また感じた感情を感じ尽くすことにより、新しい視点を得ることがあります。

 

新しい視点により、その真実の物語は時に書き換わることもあります。