ある光

 2021/09/03

 

 

これは2018年に作った映画の中の話です。

 

右の方へ行け。

 

光が見えたら光の中に飛び込むんだ。

 

魔法使いにそう言われ、僕は目の前の光の中に飛び込んだ。

 

あなたは、自分の中でリフレインしているどの声に従っていますか。

 

魔法使いは僕に言ったんだ。

この恋は秘密にしておくんだよ。

さもなければこの娘の命は危ないと。

 

行く道の先を指示されて、あなたはそちらへ行けますか?

それとも自分で納得いくまで考えますか?

 

体の中にある光 幸せになる方向がわかること

心の中にある光 進むべく道を照らしてくれる

 

間違いに気づく勇気をもてば 違う世界で暮らしていける

開けば出会える 繋がれる 新しい光 新しい愛 新しい人間(ひと)

 

 

―――

 

2026年、追記。

 

あの映画を作ってから、もう何年も経った。

 

当時の僕は、光を「飛び込む先」として描いていたんだと思う。

右へ行け、光の中へ。誰かの声に従って進む先に、答えがあるような気がしていた。

でも今は少し違う場所にいる。

 

光は、もう外にあるものじゃなくて、 止まっていた場所を動かす合図のような気がしている。

閉じていた感覚がゆっくり開くこと。 過去と、まだ見ぬ先とが、もう一度つながり直すこと。

 

それは「再生」というより、「再接続」に近い。

何かを終わらせることは、何かを諦めることじゃなくて、 新しい呼吸を取り戻すことなのかもしれない。

 

戦ってきた時間、迷った選択、抱えたままの傷。

そのどれもが消えるのではなく、形を変えながら、今の自分を支えている。

 

3つのスイッチ、という言葉を最近使った。

動かすこと。開くこと。つなぎ直すこと。

外にある装置じゃない。全部、自分の中にある。

 

あの日、光の中に飛び込んだ僕は、 今は光そのものになろうとはしていない。

ただ、止まっていたものが少しずつ動き出すのを、 呼吸しながら見つめている。

完成を目指すのではなく、 更新され続ける人生の途中で、 それでも確かに起きている変化を見つめるための曲を作った。

 

 

光の波紋(Regeneration ver.2016) 

もしこの曲が、誰かにとって次の一歩を踏み出す 小さな呼吸になれたなら、幸いです。