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2025年、再びソローに学ぶ「森の生活」

 

コロナ禍を経て、私たちにとって「働き方」や「生き方」の価値観は大きく変わりました。以前のブログでも触れたように、マスク越しに交わす会話やアイコンタクト、そして今後の人生について語り合う機会が増えたのは、多くの人が新しい道を模索している証拠かもしれません。

まるで森の中で迷い、それでも前へ進もうとしているかのように。

 

そんな時代だからこそ、ヘンリー・D・ソローの『ウォールデン 森の生活』が改めて心に響きます。1800年代半ば、ソローは産業化が進む社会を離れ、森の中で自給自足の生活を送りました。彼はそこで「人は1週間に1日働けば生きていける」という驚くべき洞察を導き出します。これは決して「働かなくていい」という意味ではなく、本当に必要なものは何か、そして本当の豊かさとは何かを問い直すきっかけを与えてくれます。

 

 

「どう生きるか」を問い直す現代のウォールデン

 

 

コロナ禍を経て、多くの人がリモートワークを経験し、都会の喧騒から離れて地方で暮らす選択肢が現実的になりました。これは、ソローがウォールデン湖畔で実践した「森の生活」の現代版と言えるでしょう。私たちは今、彼が問いかけた「どう生きるか」という本質的なテーマに、再び向き合っています。

  • 物質的な豊かさ vs. 精神的な豊かさ: 多くの物を所有すること、たくさん稼ぐことだけが幸せではない。自然の中で過ごす時間、心静かに自分と向き合う時間こそが、本当の豊かさにつながるというソローの思想は、ミニマリズムやサステナブルな生き方を求める現代の潮流と重なります。

  • 自分自身の「森」を見つける: ソローにとってのウォールデン湖畔がそうであったように、私たち一人ひとりにも自分にとっての「森」が必要です。それは物理的な場所かもしれませんし、瞑想やヨガ、趣味に没頭する時間といった精神的な場所かもしれません。自分をリセットし、内なる声に耳を傾ける時間を持つこと。それが、VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代を生き抜くヒントを与えてくれます。

  • 「全体」を捉える力: ロルフィングでも目線の使い方や視野が重要なテーマになるように、ソローもまた、ウォールデンの森で自然全体、ひいては人生全体を俯瞰する力を養いました。表面的な情報に惑わされず、物事の本質や繋がりを見抜く力。この力は、不確実な未来を自分で切り開いていく上で、欠かせないスキルとなるでしょう。

 

ソローから受け継ぐ「森の生活」の教訓

 

2025年、私たちは新たなパンデミックや社会の変革に直面するかもしれません。そんな時でも、ソローの「森の生活」が教えてくれる教訓は、私たちを力強く支えてくれるはずです。それは、自分の内なる声に耳を傾け、本当に大切なものを見つけること。

あなたにとっての「ウォールデン」は、どんな場所ですか?

 

 

小学館から出版されている今泉吉晴氏の訳書は、山小屋歴30年の経験に裏打ちされた瑞々しい文章と、豊富な写真や地図が魅力です。ソローが歩いた道を辿るように、彼の思索に触れることができます。あともう一つ、読みやすい今泉吉晴氏の訳書に加え、近年では漫画版も登場しています。ソローの思索を視覚的に体験できる漫画で、彼の「森の生活」をより身近に感じてみませんか。