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目に映る世界を新鮮にする

いつも斬新な発想で分かりやすく禅を語る、小池龍之介さんのコラムに、こんなことが書いてありました。

 

「脳をリセット 世界は新鮮」。

 

少し抜粋させて頂きます。

私たちの脳は、「このことを、自分はもう知っている」と判断したものに対しては、情報を大胆に省略する性癖を持っており……」、「…脳神経がリセットされて再び、鋭敏になる……」。

 

なるほど。なかなかいいことを書いてあります。 

「リセット後の世界は、まるで初めて目にしたもののように、新鮮なものとして心に小さな感動を与えるのです」。

 

この話は、座禅での瞑想についての話でしたが、まさにロルフィングで感じる感覚に近いなと思います。ロルフィングで行う知覚的なアプローチも脳のこの回路にも働き掛けをしていくのだなと思いました。

 

例えば、このサイトの感想のページに出ている、俳優の吹上さんの感想で、

 

 

 

「例えば体が大きくなったり小さくなったり、笑。大きくなった。というのは広がった感じ、ふわふわした感じ。小さくなった。というのは、質量がずしっとした感じ、緻密になった感じ。抽象的な言い方ですが、そういう不思議な感覚が沢山得れるセッションであるという印象です。」

 

 

 一般の方が、これだけ読むと、一体何の事やら、分からないというのが正直な感想でしょう。

 

少し解説しますと、

身体には表層筋膜という、全身を包んでいる大きなボディスーツのような膜があります。この体の知覚を脳が感じている時、少し今までよりも大きい身体を感じているということです。

 

自分の身体の知覚というのが一定でないと聞くと驚く方もいるかも知れませんが、脳は、安定させる為に働きますので、脳の安定化装置の外に出ることにより、安定以前の本来の知覚が蘇ってきます。

 

 

そして小さくなった感じというのは、脳と身体の安定化装置を接続し直して、連携を良くして上げることを指します。すると、まとまった、緻密になった身体感覚を感じるようになります。脳に届く情報量が以前よりも増え、意図と、意図と動きが、より緻密に動いている感じ方が出来るのです。

 

これらは主に、小脳を通じて脳に信号が伝わり、小脳を通じて脳の他の部分へ渡り処理されている情報体系全体に、活性化の刺激が入ります。こうして身体と脳の接続状態、関係性を改善していくと、その状態や動きが、新しい身体のホームポジションとなっていきます。新しい身体の獲得と言えます。

 

これはあまり書いている人がいないと思いますが、これは一つの脳トレなんだと思います。計算や文章題、以前の、身体感覚の脳トレです。

 

良く認知症になってから脳トレしますけど、本当は認知症になる前に、こうした知覚の脳トレをしておいた方が、老後へ向けて安心ですね。感じる力というのは全ての知覚の土台になるものですから。考えることでさえ、感じることの中の一部分と言えます。

 

吹上さんのように、クリエイティブで、普段から身体表現をしている方がロルフィングを受けると、身体感覚の変化を、自分の知覚領域で表現してくれると、ああいう感想が引き出されてくるのです。身体イメージも増えていきますので、身体表現されている方には、身体の違和感や痛みが有る無しに関わらず、得るものが大きいと言えます。自分の良さ、強み、個性と出会うセッションとなります。

 

 

一般の方でも、身体知性を上げる、安定の底辺を支えてくれる脳のトレーニングとなります。ある一定年齢になると、現状維持だと身体では、少しづつ後退していくこと、いわゆる老化という現象は避けて通れません。

 

ですので、中年期以降の方には、老後に備えるという意味でも、一生に一度の10シリーズをお薦めしたいです。人生100年時代に備えるボディワークでもあると思っています。病院でも、トレーニングジムでも、体感、知覚を高めては貰えないですね。栄養、運動、休息も大事ですが、知覚も同じように大事です。ロルフィングは、今までにないボディワークという種類のセッションです。