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倒れた人のそばで - ファーストエイドとボディワーカーの視点

倒れた人がいた場合、専門の救急隊が来るまでの間に出来る応急処置をファーストエイドという。具体的には、呼吸の確認、気道の確保に始まり、場合によっては、AEDの操作や心臓マッサージ、止血、テーピングなど多岐にわたる。

 

意外に専門家任せになりがちだが、専門家が来るまでの間の処置で命に関わることもある。

 

最近二度そういう場面に遭遇した。一度目は、交差点に頭から血を流している人が倒れていて、5、6名が周りでサポートしていた。人が周りにいて救急車も呼んだということで、仕事で急いていたこともあり、その場を立ち去った。帰り道、その場所を通ると花が供えられていた。

 

そしてもう一つは、あるイベント会場で、声が聞こえたと思ったら、口から泡を吹いて人が倒れた。頭を打った音が聞こえた。気がつくと僕は、気道の確保と、呼吸の確認を行っていた。白目を向いて口から泡を吹いている。呼吸をしていることが確認できたので、頭部を支え、横隔膜付近に手を添えて頭部を保護した。誰かが救急車、そして施設の救護員を呼びにいく。専門家が来るまでの間、どうにかしないといけない。意識はあったものの、呼びかけには応じない状態だった。瞳孔が開くような危険な状態ではなかったと記憶している。プレゼンテーションの前で極度に緊張していたようだ。

 

この状況でボディワーカーである自分が何が出来るのかわからないが、神経系と呼吸の安定をさせるために手を胸郭全体を包むように手を置いた。身体全体の状態が安定するように意識を集中させ、耳元で大丈夫だよと語りかけた。声をかけるがまだ意識が戻らない。多くの混乱と声の中、彼女の身体の状態と自分の感覚が同調し始め、意識が戻り始めたのを感じた。周りの人に大丈夫ですと言ったけど、悲しいかな、医療的な現場ではボディワーカーの言葉は誰にも届かない。しばらくして彼女が意識を取り戻した。

 

声掛けや、そして大勢の取り巻きにびっくりしていた。起き上がろうとしたので、起こして背中から抱いていた。そして救急車が到着したので、この場を離れた。彼女の体の声、心の声と共にいたんだけどな、代替医療という立場では、こういうものなのか。色々考えさせられる貴重な体験でした。当時はまだ取材の仕事も請け負っており、この日はボディワーカーとしてではなく、取材者として会場にいたという背景もあった。普段は意識と対話しながら施術を行うため、対話できないような状態は、当時の自分にとっては緊急事態だった。今では、同様の情報もインターネットで多く見られるようになった。

 

医療的な対応も大事だなと思いました。ファーストエイドも学ぼう。