感覚の体

カナダの脳外科医ペンフィールドは、ヒトの大脳皮質を電気刺激し、運動野や体性感覚野と体部位との対応関係をまとめました。ホムンクルスの体の各部分の大きさは、大脳皮質運動野の相当領域の面積に対応するように描かれています。その結果、体の形は相当ゆがんでいる。例えば、親指は大きく長く、顔や舌も異常に大きい。感覚の世界に入ると、顔と手や指の部分がかなり占めているということが分かります。我々ロルファーが手を使って施術するのもこの大きな手の状態になって、手を使っているから出来ると言ってもいいでしょう。

脳の中で描かれる世界は、脳が環境に働きかけ、環境の中で動きまわり、環境と相互作用する中でつくられるものだそうで、そして世界は1つでなくいくつもあるということになっています。脳が感じている世界は1つではないのですね。世界が一つではないということが、脳の中だけでなく、現実の世界に出てきて、我々がそれを受容していくと、もう少し住みやすい世界になってくるかもしれませんね。

 

ロルフィングを世界中の人が受けると世界が変わるとアイダロルフは言いましたが、それはこうした歪んでしまう世界に対する感覚が統合されていくからなのではないかなとも思いました。言語だけでは、なかなか理解し合えない人間に残されている叡智は、実は身体の中にあるのかもしれません。