
先日、大阪の国立民族学博物館(民博)を訪れ、出口にそびえ立つトーテムポールを目にしました。初めてトーテムポールなるものをまじまじとみました。それは単なる彫刻ではなく、ある種の世界観、「全体性」というテーマを深く考えるきっかけとなりました。
ポールは、北西沿岸部の先住民が作る彫刻の柱で、単なる装飾ではありません。それは、先祖から代々伝わる神話や伝説、人生の出来事(戦、婚姻、葬式など)を、氏族と縁の深い動物や人物で表現した「紋章」なのです。複数の紋章で構成され、その意味は口承で伝えられてきました。
多くの場合、一番上にはその一族の象徴が彫られ、刻まれたリングの数は、所有者が開いたポトラッチ(贈り物や宴会を通じて富を分配する儀式)の回数を表します。そして一番下には、ポールの所有者の家系の動物が刻まれていることが多いのです。
社会学者のレヴィ=ストロースは著書『野生の思考』の冒頭で、「野蛮人」と呼ばれた未開社会の人々も、世界をあらゆる角度から徹底的に研究していたと指摘しています。彼らの持つ世界観、そして全体性。
現代に生きる私たちは、この「全体性」を失いつつあるのではないでしょうか。いつの間にか、思考や頭だけが肥大化し、自分の立ち位置すら見失ってしまう。
私たちが全体性を取り戻すには、まず自身の体の全体性、つまりニュートラルな状態を取り戻すことから始めてみませんか?それができれば、きっと見える世界も変わってくるはずです。