ロルフィングと共に在った人生の断片

 体の奥深くでバランスの整った自分を思い出す瞬間

 

「頭や心が混乱し、途方に暮れていたとき、身体だけは真実を知っていました。ロルフィングとの対話は、過去の感情が閉じ込められた『扉』を開け、私を捻じ曲げていた生き方から解放しました。いま、私は重力と調和し、ありのままの自分を表現し始めます。」 

 

                                                                H.K様


 【振り返り】 不調から始まったセッションの裏側

 

  

セッションのご依頼した当時のメールを読み返すと、胃の不調と、服用した胃薬が合わずに背骨の激しい痛みに耐えかねた状況が綴られていました。

しかし、それ以上に、その時期は私自身の「人生の激流」の中にあったことを思い出します。合わない仕事からの派遣先変更、母の認知症の発覚と右往左往、父の飲酒と持病の悪化。救急搬送される父に憎まれ口をたたかれ、激しく後悔した「ドタキャンしたセッションの日の電話」の記憶もあります。

 

今、振り返ってみると、ロルフィングのセッションは、その激しい時期に常に「共に在り」ました。潜在的な不安はなくならなくても、以前よりもずっと元気でいられるのは思っていたよりも深くロルフィングが関わっていたからだと感じています。

 

 


PART 1. 「ノイズ(違和感)」の正体

人生の負荷と身体の応答

 

 

 

Q. セッションに辿り着く前、心身に最も「ノイズ(違和感)」を生み出していた本質的なものは何でしたか?

 

 

本質と言われると未だにわかりません。しかし、肉体的な症状としては、首肩のこり、痛み、頭の詰まり、腰痛、だるさといった慢性的な症状があり、それらが伴う鬱様(うつよう)の症状が最も辛かったです。私が求めていた「軽やかさ」とは、突き詰めれば、まずこれらの症状がない状態でした。これらの「ノイズ」は、仕事や家族の重圧といった人生の負荷に対する、身体からのSOSの応答だったのだと、今は俯瞰できます。

 

 

 

 

PART 2. 内なる微細な発見:知覚が再構成した思考

 

Q. セッション中にあなたが最も驚いた「身体の内側で起きた微細な感覚」と、それが「思考」に与えた影響は何でしたか?

 

セッション中、頭に血液が流れていくのをはっきり感じたこと、顎周りをリリースされた時の顎の動きは、身体の内側で起きた微細な発見として強く印象に残っています。このような身体的な感覚が変化したことで起きた「再構成」とは、シンプルに「体が軽くなるとポジティブになれること」でした。不調というフィルターが薄れることで、世界に対する知覚が明るく変わっていくのを実感しました。

 

 

 

PART 3. 自己承認という名の「軸の確立」

 

 

Q. このメソッドが、あなたの仕事や日常の所作(振る舞い)に具体的にどのような「静かで揺るぎない気づき」をもたらしましたか?

 

 

長年の「生きづらさ」が「強み」へと昇華した実感は、残念ながらまだありません。しかし、一つ重要な気づきがありました。それは、「ボディワークの助けを借りないと、体の不調によって普通の生活が困難であると認めたこと」かもしれません。

 

これは、自分の限界とニーズを素直に受け入れ、外部の助けを求めることを「自己承認」の一部とする、静かで揺るぎない軸の確立だったと感じています。今、私は新しい仕事で直接雇用され、お金に多少の余裕ができました。潜在的な不安はなくならなくても、このお金の余裕は心の余裕を、そしてロルフィングは体の余裕をもたらしてくれました。

 

【結び】一時的な解決の反復が、哲学へと昇華する瞬間

 

Q. このメソッドは、あなたにとって「一時的な解決」と「人生のサポーター」のどちらになりましたか? その理由を教えてください。

 

 

正直に言えば、両方です。受けたセッションは、その都度の不調に対する一時的解決の繰り返しのようなものになりがちでした。しかし、振り返ってみると、ロルフィングは「人生のサポーター」でもありました。それは、ふとした瞬間に「体の奥深くでバランスの整った自分がある」と思い出させてくれるからです。原因が明確でない不調を抱えたすべての人に、この「体の奥深くのバランス」という静かな拠り所を見つけてほしいと推薦します。


 【ロルファーの洞察:人生の防御を終え、存在を創造的に活用する】

 

 

このアドバンスコースの探求は、人生の激流と加齢・不調という二重の現実に対し、クライアントが無意識の「防御」の姿勢から、主体的な「存在の創造的な活用」へと移行した、深化の記録です。統合セッションは、長年「防御」に使われていたエネルギーを解き放ち、すべてを「最適化されつくした生粋の自分のコア(AIR-CORE)」の確立へと統合しました。これにより、激流の中で消耗することなく、「体の奥深くでバランスの整った自分を思い出す瞬間」が可能となりました。

軸の獲得は、不調を消す「開放」ではなく、「流動的な居場所」を再構築し続ける「統合」の始まりです。これから生じてくるであろう不調や加齢といった現実は、もはや抵抗すべき「ノイズ」ではありません。それを「身体の流動的な居場所を更新し続けるための情報」として認識し、自己の成長に活用できるようになったのです。