ぎょうざ好きのてっちゃん 2

ある日てっちゃんは友達たちとザリガニ取りをしていました。

 

少しずつ上流に向かうと大きなザリガニが獲れ出した。

 

ん、これは大きな川には、

 

大きなザリガニの親分がいるに違いない!

 

と、てっちゃんは思った。

 

そして、友達と相談して

 

ザリガニの親分をやっつけようということになり、

 

川を上っていくことになりました。

 

ザリガニの親分の基地を探しに出かけて、

 

川を辿って行き、大きな川のそばまでやってきた。

 

友達は小さな川より向こうへは行っちゃいけないって、

 

お母さんに言われていたから一緒には来ません。

 

でもてっちゃんは全然平気です。

 

だって川が僕を呼んでいるんだーとか、

 

何か理由を作って

 

裏山で拾った木の枝の刀を持って大きい川の方へと歩いて行った。

 

「この刀があるから大丈夫、ザリガニの親分も、ばさっと斬り落としてやる。」

 

「僕は正義の味方のウルトラてっちゃんだー!」って大きな川の方へと進んでいった。

 

大きい川は深くて、とてもザリガニの親分の居場所は

 

外から眺めていても分かりそうもなかった。

 

30分ほど探していただろうか。

 

 てっちゃんは疲れてきて、

 

「今日は偵察に来たってことにしよう」と自分で納得し、

 

原っぱに出たところでちょっと休憩することにした。

 

原っぱはいつもの原っぱで、原っぱの向こうには雑木林が続いていた。

 

てっちゃんは原っぱに寝転がって空を眺めていた。

 

 

 

ただぼーっと空を眺めていた。

 

大きいなあと思って、大空だと思った。

 

雲が動いていることに気づいて、

 

雲が動いているなあって言った。

 

風が吹いていて、びゅーびゅー音がしていた。

 

寝ている僕の半ズボンの足に草の葉が吹かれて当たって、くすぐったいなあと思った。

 

雲の切れ間から太陽が出てきて、キラッと輝いて、

 

ん?眩しいなあ、と声に出した。

 

そしたらそのうちにもやもやと雲と空の境界線がつぶつぶに見え出した。

 

なんだろう、あのつぶつぶは、いくらのようだと思った。

 

そう思って、いくらのようだと声をだした。

 

そしてら。。。そのつぶつぶが動き出し、雲のつぶつぶが空へ、

 

空のつぶつぶが雲へ入り出し、入り交じり出した。

 

「あれれ、全部混ざってきちゃったー!」

 

つぶつぶが繋がり出し、線になったり、境界線が曖昧になったり、

 

あれれれーって感じでびっくりした。

 

一度目を閉じたり、目を擦ってみたけど、

 

やっぱりそういう風に見えていて、

 

やがて、点が線みたいに蠢いていって

 

雲と空が分解してしまったようになった。

 

そしたら今まで自分が寝ていた場所、地面、そして地球までが、全部一緒になった感じで動き出して、

 

地球がぐるぐる回っている上に自分が乗っているように感じて、ただくっ付いているような気がしてきて、

 

気が付くと暗黒の世界に強い風が吹いていて、そんな嵐の中に、大地にベタッとくっ付いている

 

まるで十字架に吊るされているような感じでいる自分に気づいた。

 

どっちが上だか下だか分からず、落ちちゃいそうだし、

 

風もすごく強くて飛ばされそうで、

 

「おかあさん、おばあちゃん、どうしようー!」って。

 

「助けてー!」って叫んでいた。でも声は出なかった。

 

この嵐の中、振り落とされたら、どこへ行くのか分からない。

 

もう怖くて怖くて、振り落とされて、この場所にいなくなったらどうしよう。

 

その向こうには何もない気がして、

 

恐ろしくて恐ろしくて、泣き叫んでいた。

 

てっちゃんは「いやだ、何もないところはいやだよー!」って叫んだ。

 

声が出た。

 

 

続く。(3分割2話)